先人たちの知恵で楽しい散歩を ( 2010/06/10 )
talk to oneself皆さんは、「江戸しぐさ」という言葉を聞いたことがありますか?
江戸時代、江戸に住む町人(職人・商人など)たちが人間関係を円滑にし、日々気持ちよく暮らすために考えられた知恵が、後世「江戸しぐさ」と呼ばれるようになったそうです。
江戸しぐさが生まれた背景には、江戸の町の成り立ちが関係しているといわれています。
江戸の町は、江戸城を中心に武家屋敷が立ち並んでいたため、町人(江戸人口の約半数)は、市街の狭い地域で暮らしていたそうです。
限られたスペースで大勢の人々が円満に暮らすために、町人たち自身によって考えられ、暗黙のマナーとされていたのが江戸しぐさでした。
江戸しぐさの中には、「こうするとみんなが快適に過ごせる」というものがある一方、「これをやってはいけない、やるのは野暮(やぼ)だ」という行動もあります。
そんな江戸しぐさの中から、私たちの生活にも取り入れられそうなものをいくつかご紹介します。
●傘かしげ
雨の日に傘をさした人同士がすれ違うときには、お互いの傘を外側に傾け、しずくが相手にかからないようにすることです。
こうすると、傘と傘がぶつかることもありません。
●こぶし腰浮かせ
乗り合いの渡し船などに乗っているとき、あとから人が来たら、みんなで腰を浮かし、こぶし1つ分、体を横にずらして席を作ることです。
●肩引き
狭い道をすれ違うとき、お互いに相手側の肩を後ろに引き、体を斜めにしてぶつからないように歩くことです。
●かに歩き
肩引きでもすれ違えない狭い道のときは、向かい合わせになり、完全に体を横にして歩くことをこういいます。
●七三歩き
公共の道では、道の端から三分目(3割)ほどまでの間を歩き、真ん中は緊急の用などで急ぐ人のために空けておくことです。
道をふさぐように真ん中を歩いたり、大勢で横並びになって歩いたりするような、後ろから来る人のことを 考えない歩き方は「通せんぼしぐさ」といわれ、注意を受けたそうです。
●片目だし(お通りゃんせ)
家や店から通りに出るときは、急に飛び出さず、まず顔を出して左右を確認。
通行している人がいればやり過ごしてから、タイミングを見計らって出て行くことで、出会い頭の衝突などを防ぐことができます。
どれもちょっとした心遣い一つででき、愛犬とのお散歩などで日常的に使えそうですね。
価値観も異なるさまざまな人が集まって動いている今の社会、ささいなことからトラブルなどが起こることもあるでしょう。
そんなとき、先人たちの知恵である「江戸しぐさ」を心がけるだけで、自分も周りの人も気持ちよく過ごせるのではないでしょうか。
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