愛犬が突然鼻を鳴らして、苦しそうに呼吸をしている姿を目撃したことがありますか?
その症状は咳でもくしゃみでもない、何とも表現しようのない状態ではなかったでしょうか?
日常的に起こりうる不可解な愛犬の症状に対して冷静に対応するために
犬には発作性呼吸と呼ばれる呼吸があります。
まるで犬がくしゃみを吸引しようとしているかのように見えるので「逆くしゃみ」とも言われています。
しかし実際はくしゃみとは関係ありません。
「逆くしゃみ」は小型犬や短頭犬種でよく起こると言われています。
特にプードル、パピヨン、チワワなどでよくみられます。
“通常”のくしゃみとは、空気が鼻孔を通して急速に押し出される現象のことを言いますが
「逆くしゃみ」は鼻孔から空気を急激かつ連続的に吸い込む発作性の呼吸です。
人間がくしゃみをする時は必ず目をつぶってしまいますが、犬が「逆くしゃみ」をしている最中は、
首を前方に伸ばして、目を開き、起立した状態であることが多いようです。
その姿はまるで犬の鼻に何かついたものを振り払うようで、さらに大きな鼻息音を奏で鼻から急速に空気を吸い込みます。
犬の「逆くしゃみ」を表現するならば「まるで豚がフゴフゴ鳴くような音」が最も近いかもしれません。
通常は数秒(長くて1分)の短時間ですが、飼主は窒息するのではないかと不安になることが多いようです。
1日に何回も起こすことがありますが、「逆くしゃみ」は健康に見え、犬が意識を失ったり、倒れたりすることはありません。
多くの犬が生涯にわたってこの症状を繰り返すとも言われています。
どうしたら良いですか?
「発作を起こすようになった」とか「咳が止まらない」というと、心不全や気管支炎あるいは
てんかん発作など重篤な病気なのではないかと不安になっても当然です。
しかし、血液検査、胸部レントゲンや心電図検査などでは「異常なし」というケースも少なくありません。
飼主が重篤な病気なのか、「逆くしゃみ」なのかを正確に判断することは難しいことです。
そのような場合は愛犬が「逆くしゃみ」をしている映像を撮影し、獣医師に見せると良いでしょう。
獣医師に的確に状況を伝えることに大いに役立ちます。
その映像によって、獣医師は的確な判断が可能になります。
原因はありますか?
残念ながら「逆くしゃみ」の明確な原因は未だ解明されていません。
アレルギー素因をもっている場合、この問題は悪化すると言われていますが、
実際そのアレルゲンを特定することは困難であることが多いようです。
その他にも、ウイルス疾患、細菌感染、異物、軟口蓋過長などが影響していると言われていますが、
多くのケースが特発性です。
では、愛犬が「逆くしゃみ」をした場合、どのように対処?
愛犬の咽頭(のど)や胸部をマッサージしたり、鼻孔を閉じる方法を良いとする学説もあります。
これは、嚥下(水分や食べ物を口の中に取り込んで、咽頭から食道・胃へと送り込むこと)を刺激することで、
「逆くしゃみ」をコントロールすることが出来る、という考えから来ている対処法です。
補助的にトライしてみる価値もありそうです。
安易に判断することが他の病気の早期発見を見逃すことにならないよう前後の状況も含めて
注意深く観察し、少しでも心配な点があれば獣医に相談しましょう。
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